
DX推進に必要なシステム内製化の、メリット・デメリットがよく分からない方は多いのではないでしょうか。経済産業省のDXレポート内でもシステム内製化が今後重要になることが示されています。
今回の記事では、システム内製化のメリット・デメリットをそれぞれ解説しています。また、システム内製化の前に確認するべきポイントも紹介しているため、これからシステム内製化へ取り組むことを考えている方は参考にしてください。
システム内製化が求められる理由とは
経済産業省のDXレポートでは、「2025年の崖」という言葉を使って、既存のシステムがレガシーシステムと化しDX化を阻害することで、2025年に国内で12兆円の損失を招くリスクを指摘しています。
2025年の崖を解決し、DX化を実現するためにもシステム内製化が求められています。
システムの外注は社内にノウハウが蓄積されず、ブラックボックス化してしまうかもしれません。システム内製化で社内でのノウハウが確立することで、柔軟かつ効果的なシステム更新やDXの円滑な実現につながるでしょう。
出典:経済産業省/DXレポート
システム内製化のデメリット
システム内製化のデメリットとして挙げられるのは次の3つです。
・設備の導入・運用コストの認識が薄くなり出費が増える
・IT人材・DX人材の育成に時間がかかる
・社内システムの品質の担保が難しくなる
それぞれ詳しく解説します。
設備の導入・運用コストの認識が薄くなり出費が増える社内のリソースを使用すると、具体的なコストが把握しづらくなるデメリットがあります。
外注の場合は外注先のリソースを利用し、不要なものを削減できますが、内製化ではパソコンやサーバー、管理ツールなど多岐にわたる設備を自社で用意しなければいけません。
設備の利用にはランニングコストも必要で、他のシステムと兼用することで増加する出費が見落とされやすくなります。コストの透明性が低下すれば、結果的に企業の経済的負担が増大する可能性があるでしょう。
IT人材・DX人材の育成に時間がかかるIT知識のない人材を教育するには膨大な時間とコストが必要です。育成には社内リソースが必要ですし、リソース配分によっては事業に支障をきたす可能性もあるでしょう。
さらに育成のためのノウハウを蓄積するには、長期的な目線で取り組まなければいけません。
社内システムの品質の担保が難しくなる従来はベンダーへの外注が主流で、コストはかかるものの高品質なシステムが提供されていました。システムを内製化する場合、専門家に外注する場合と比較してシステムとしての品質が劣るリスクがあります。
なぜならシステム内製化では、社内のIT人材が未熟であることが原因で品質の低いシステムがリリースされる可能性が高まるからです。人材育成が不十分な場合、機能不全やセキュリティの脆弱性が生じ、会社の信頼性を損なうリスクも出てくるかもしれません。
システム内製化のメリット

システム内製化のメリットも見ていきましょう。
・システム開発ノウハウを自社で蓄積できる
・システム開発のスピードが上がる
・社内のセキュリティを向上・強化できる
それぞれ詳しく解説します。
システム開発ノウハウを自社で蓄積できる自社によるシステム開発は時間がかかるものの、開発過程で得た知識やスキルは自社のノウハウとして蓄積されます。
要件定義からサービスリリースに至るまで、内製化で得た経験は、将来のプロジェクトで大きな価値を持つでしょう。
また、自社でノウハウを蓄積することは、ブラックボックス化を防ぎ、システムを迅速かつ柔軟にアップデートできるようになります。将来的な技術革新や市場変化にも迅速かつ適応でき、競争力を維持・向上させることが可能です。
システム開発のスピードが上がる外部との仕事では、社内で内容を固め上司の確認を経て進める必要があるため時間がかかります。外部との文化の違いから要件定義段階でのすり合わせが難しく、認識のずれが生じることもあるでしょう。
システム内製化では社内の専門用語や考え方を踏まえたすり合わせがスムーズで、リソースの配分やスケジュール調整も効率的に行えます。そのため、開発プロセスが迅速化し、柔軟な開発が実現できるため、システム開発のスピード向上が可能です。
社内のセキュリティを向上・強化できるシステム構築を外注する場合、データ保管場所が増えることでデータの流出リスクが増えます。
一方、自社でシステムを構築・運用すれば、社内データを外部に送る必要がありません。
システム内製化はセキュリティリスクが軽減される、データの取り扱いやアクセスの管理が社内で一元化されるなど、より確かなセキュリティ対策が実現できるでしょう。機密情報や顧客データの保護を徹底したい企業はシステム内製化がおすすめです。
内製化を進める前に行うべき3つのポイント
内製化を進める前に気を付けるポイントがあります。
・社内システムの棚卸しを行う
・社内のリソースを確保する
・どこまで内製化するか範囲を決める
それぞれ詳しく見ていきましょう。
社内システムの棚卸しを行う自社が利用している全てのシステムを一覧表にまとめ、それぞれのシステムに対して重要度を評価し、優先順位付けを行いましょう。
システム内製化によるメリット・デメリットを考慮し、戦略的な優先順位を付けることが必要です。
例えば、根幹のシステムは長期的な目線では改変が大きな効果を生む一方で、品質が落ちた場合の影響が大きいリスクがあります。
戦略的な判断を通じて、内製化の優先順位を適切に設定することで、リソースの最適活用やビジネスへの影響を最小限に抑えながら内製化を進められるでしょう。
社内のリソースを確保する新たなリソースを確保する方法には、新規人材の採用や既存社員の活用が挙げられます。リソースの確保や育成にはコストや時間がかかるため、長期的な計画の立案や予算の確保が必要です。
社内の人材を育成する場合は、並走型支援を提供するベンダーなどを活用し、初期の品質を担保しながら長期的な人材育成を進めましょう。
人材だけでなく設備やサービスにもコストが発生することを事前に想定し、十分な資源を確保することも必要です。
どこまで内製化するか範囲を決める社内システムを一括で内製化するのは困難です。社内のシステムを棚卸しし、外注や既存システムの評価を通じてどこまで内製化するのかを明確に決めましょう。
外注しているものや既存システムの一部を内製化し、都度フィードバックを行いながら品質を担保していくことで、リスクを最小限に抑えられます。
組織が対応可能な範囲で内製化を進め、絶えず改善を重ねながら効果的なシステム内製化を実現できるでしょう。